ふらふら鎌倉旅行 その2

3日間の鎌倉旅行 最終日は北鎌倉でお寺巡り。
建長寺→明月院→浄智寺→東慶寺→円覚寺。

前日、翌日の天気予報と気温予報に恐れをなし、ドラッグストアで買い求めたカイロが大活躍。



3日目 北鎌倉

体が疲れ切って落ちる眠りとその目覚めの気持ちのよさってなんなんだろうね。
ぐっすり眠りました、と体が全身で訴えてくる。
前日の江ノ島で酷使されまくった足のふくらはぎも、全力で「痛い」と訴えてくる。
昨日の夜、湿布を貼って寝るべきだったな。
日頃は朝食をあまりまともに食べていないんだけど、旅先はぐんと食欲が増すの不思議。
ホテルの朝食バイキングがなかなか美味しくて、朝から筍と野菜の炊き合わせでご飯が進む進む。
さて、今日も行くぞー! と8時半頃出発。
昨日、江ノ島の岩屋から帰ってくる階段途中で無になっていた友人に、今日の調子はどうだと聞いてみる。

「体力ゲージ50%」

全然回復してなかった。
まあ、無理のないようにいこう、と地下鉄に降りて発見。
横浜市が、マナー向上キャンペーンで三國志とコラボしたポスター!
ニュースになった時友達と大笑いしたあれが、本当に地下鉄に貼られてた。
本物だあああ! と、写メを取り、曹操様好きの友人に送る。お褒めの言葉を頂戴した。
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今日は鎌倉の一駅手前、北鎌倉で下車。
お参りするお寺を決めておいたので、まずは今日の目的地の中で一番遠くにある建長寺を目指す。
頬を撫でる風が冷たい。念のためと持ってきたストールは、完全にマフラー代わりで大活躍。
昨日買っておいたカイロを背中とお腹に貼って正解である。
線路沿いの道を歩き、大きな家や、手入れされた庭、ガイドブックに載っていたお店を見つけつつ歩くこと20分強。

やってきました建長寺
大きな三門をくぐり抜けると仏殿があり、樹齢700年超のビャクシンという大木が左手に植わっている。
その両隣の木も相当大きいはずなのに、真ん中のそれが大きすぎて、両隣がすごく若い木に見える不思議。
ねじれつつもどっしり太い枝や幹が非常に男性っぽい木。雄々しいというか。
世俗を離れ達観してやさしく人々を見守るという感じはなくて、
なんとしても俺は生きる、みたいなエネルギーを感じさせる大木。
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仏殿や法堂の入口に、何故かフクロウが。
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なんでこんなところに。可愛いけど。
帰ってから調べてみたら、鳩避けだったみたい。
でも、鳩は普通に法堂に入り込んでたよ。強い。
法堂の天井には雲竜図が。
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迫ってくるような迫力のある竜で、この方が夜になったら現身(うつしみ)になって、
若い僧(ヘタレイケメン)が半僧坊の烏天狗様方にせっつかれつつ鎌倉を守る話がどこかにないかなと思いました。
ここの竜は爪が五本だったんだけど、なにか謂れがあるのかな。
昨日、江島で見た竜は三本爪だった気がするんだけど。

方丈の正門が、びっくりするくらい派手で金ぴか。
つい数年前に修繕完了したらしい。
お庭は静かで、遠くに白木蓮が満開になっているのが見えた。
そこを出て、次に向かったのは最奥にある半僧坊
最奥だけあって、遠い。
人の指が書かれた案内碑や、民家なのかと悩んでしまう家の傍を通り、竹林を抜け、
赤い隈取りのある狛犬たちに出迎えられ、やっと、と思ったその先。
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真っ直ぐに連なる石畳の向こうに、更にふたつくら鳥居が見える。
遠目に見えたじぐざぐと山を登って行く階段に友達が悲鳴をあげた。
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いや、なんだかこの道、山登りの格好をした人がさっきからよく通るなとは思っていたんだ。
どうやら半僧坊から鎌倉アルプスを歩くハイキングコースがあるらしい。
階段の両脇には「半僧坊大権現」と書かれた旗がいくつも並び、
それぞれに「商運隆昌」「海上安全」「工事安全」「心願成就」などと書かれていて、
岩山を登る階段にそれらがはためているのは結構壮観。
そうして私たちを待ち構えていたのは、この方々でした。
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おおお。天狗様じゃー! 烏天狗様もおられる。
めっちゃ見下ろされている。歓迎というよりは、「何者じゃ」と鋭く見定められている気分で、背筋も伸びる。
しかしカメラも向けてしまう。
だって、こんなに天狗様に迎えられるとは思ってなかった。
ここまで来た甲斐があったなあと、階段を上りきると正面に本殿。
左手に富士見台があった。
晴れた日には、ここから富士山が綺麗に見えるのだそう。
今日もあいにくのどんより曇り空で、富士山は見えず。
北鎌倉を見下ろす天狗様たちと共に、しばし遠くまで広がる景色を堪能。

授与所を見ると、御朱印受付の文字が。
御朱印帖を建長寺の入口で預けてしまったので、やっちまった! の気分だったんですが、
念のためと思い尋ねてみたら、紙に書かれた御朱印に日付を入れてくださるとのこと。
よかった!
そういえば建長寺の入口に、
もしどこそこで御朱印貰うつもりなら、御朱印帖持って行きなよ、と
注意書きがしてあったようななかったような。
御朱印帖何冊も持ってる友達がいるけど、きっとこういう時のためなんだな。
痛いふくらはぎを叱咤しつつ登ってきただけに、ここの御朱印は「きたぞー!」という達成感のようなものを感じさせてくれる。
そしてまた、下って行くんですけれどもね。

お昼は建長寺を出たすぐ左側にある鉢の木へ。
鴨なんばそばを頂く。
ぼた餅を勧められて、とても美味しそうだったんだけど、次にどうしても行きたいところがあったので我慢。
友達のお膳に出てきた、お麩の佃煮が美味しかった。不思議食感。

建長寺→お昼ご飯→できれば行きたい甘味処→明月院

という位置関係だったので、お昼直後にはしごはきついかなーと思っていたんです。
でも、建長寺に向かう途中で、見てしまったわけです。そのお店を。
そうしたら我慢が利かず、友達もいいよーと言ってくれたので行きました。
三日月堂花仙
ここのぜんざいが美味しい、とメモに書いてくれた友達がいて、
彼女はいつも美味しい店を見つけてくるので是非食べたいと。
和風の門構えをちらと覗くと、木々と花に彩られた石畳の向こうに入口が。
素敵だな~とお店に入ると、とても静かな空気。
お昼時ということもあって人は少なく、上品そうな女性がふたり、あんみつをそっと食べていらっしゃる。
案内されたテーブルそれぞれに花が活けられ、窓の外には隣の家の雪柳が満開。
紅い椿と隣り合って色鮮やか。
あたたかい白玉ぜんざいを頼んで、待つこと数分。
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小豆たっぷり!
白玉だんごが艶やか! しっかり歯ごたえでおいしい。
私にはちょうど良い甘さだったけど、友達は実家の塩気の強いぜんざいが食べたくなってきた! と言っていたから、
少し甘いのかも。
あじさいの和三盆が可愛くてなかなか食べられない。
お盆ひとつひとつに違うお花がついてきたのも驚いた。
ぜんざいのお盆に生花が飾りでついてくるなんて、贅沢な気分。
目も楽しいね。
どら焼きが美味しいって後で知ったので、買って帰ればよかったなと今後悔しているところ。
お土産の中に、あじさいの和三盆とこんぺいとうを組み合わせた小箱があって、
これがめちゃくちゃ可愛かった。
ずっと飾っておきたい可愛さ。

さて、しっかり食べてエネルギーチャージ完了。
次に目指すは明月院。(HPないみたい)
あじさいが有名で、窓が真ん丸なところ、という印象しかないままに寺院を目指す。
明月院へ至る道筋に立ち並ぶ家が、どれもこれもお洒落で見ていて飽きない。
ここが別荘、みたいな方々が世にはいらっしゃるんだろうな。
3連休の最終日だからか、恐れていたほど人もいなくて、すごく静かな一帯だった。

山門のあじさいはもちろん咲いていない。
盛りの季節はさぞや……(昨日からの繰り返し)。
明月院にはリスがいました。そして砂州には蟹もいました。
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人が多かったら、真ん丸窓を写真に撮るのは難しいだろうと思っていたけど、あっさり撮れた。
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(どうしても右が下がるな。性根が歪んでいるのかもしれない)
ここのお地蔵様もすごく大事にされていることを感じるお地蔵様でした。
あったかそう。
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こちらは花想い地蔵、と呼ばれていて、いつも季節の花を抱えているそうです。
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やさしそうなお顔。

明月院を後にして、次に向かったのは線路を挟んだ向かい側にある浄智寺。
入口に立つと、山門の向こうに緩やかに上って行く石段が見える。薄く光が差してぼんやりと綺麗。
今調べてたら、ここ映画「武士の一分」の撮影で使われたらしい! お墓参りの場面? 覚えてない!
山門には「寶所在近」の文字。
どういう意味だろう、と調べてみたら「宝はすぐ近くにある」という意味らしい。
大事なものはすぐそばにあるよ、ってことか。
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仏殿は曇華殿と書かれていて、優曇華からきているそう。三千年に一度咲く、極めて珍しい花。
そこから、珍しいもの、貴重なものを納めるお堂という意味でつけられたらしい。
御朱印帖にも大きく曇華殿、と書かれていた。
過去、現在、未来を示す仏様がいらっしゃる。
そこから境内をぐるっとまわっていくと、洞穴がありその先に布袋様がいらっしゃいました。
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布袋様のお腹をさすると元気が貰えるよ! ということなので、お力を頂く。
江ノ島七福神様のおひとりなんだって。

その次に訪ねた東慶寺では、桜が咲いていた。
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やっと桜に出会えたよ!
綺麗だな~。
縁切寺として有名らしい東慶寺は、尼寺の印象もあってか全体的に丸い雰囲気。
こちらの水月堂に安置されている、水月観音菩薩半跏像を見るには事前予約が必要だと友達が調べてきてくれて、
連絡したら、ちょうど4/3までやっている仏像展に展示されるため、予約は必要ないですよ、とのお答え。
普段は、朝9時と9時半からの2回だけとかの拝観らしかったので、非常に助かりました。

仏像展に入ると、このお寺が出した縁切状、いわゆる三行半の書状がずらりと展示してあって、
この娘の夫がいかに非道であるかを連ねた書状もあったけど、
「娘が14で嫁いでからというもの、働きもせず呑むわ打つわ買うわ、飲み代のために妻を女郎屋へ売り渡した」
と、もう最初の数行でくらりと空を見上げたくなるほどの駄目男っぷり。
それでも、女の人の立場の方が弱かったんだよな。
お寺に逃げ込んだ後、女性たちは寺で働かなければならず、寺でかかる衣食住の費用は女性の家族が支払わなければならなかったそう。
お寺での生活も、その家族から支払われる費用によって三ランクに分けられていたとかで、
ひどい旦那から逃げ出しても、色々厳しかったんだろうなと思ってしまった。
まあ、寺側もただ飯食べさせる余裕はなかったんだろうけど。
この書状が、生々しくもリアルで、読んでいて面白かった。
あの、映画「駆込み女と駆出し男」を見なくちゃね。

そして目当ての水月観音菩薩半跏像は、ゆるりと椅子に腰掛けた大変くつろいだお姿で、友達が
「こんなにだらっとした仏像珍しいね」
と呟いた。
説明文を読んでいたら、どうやらこんな感じの観音菩薩様、中国ではある時期すごく流行ったんだけど、
京都は保守的で、「こんなの、仏様らしくないから駄目だって」という理由で、その姿を取り入れることはなかったらしい。
確かに、全然見慣れない。
でも、そのゆったり寛いだ姿はやさしくて、丸い印象がして、尼寺にこういった仏像があるというのはすごく気持ちが和んだんじゃないかなと勝手なことを考えたり。
私たちが考える「仏様」の形って、昔の人たちが取捨選択してきた多くの仏様の一部なんだなあと、この仏様を見ていて思った。
ミュージアムショップに、4000円超えの御朱印帖が販売されていて、ひえええと遠巻きに眺めて東慶寺を後にしました。

そして、この旅のゴールは円覚寺
こちらのご本尊様は、ものすごく立派な冠を被っていらっしゃって、お顔の両脇に垂れる宝冠のしゃらしゃらした飾りに目を奪われた。
御朱印帖にも「宝冠釈迦如来」って書かれてたから、ものすごく特徴的なんだろうね。
こちらの天井の龍は三本爪だった。
大きな敷地のあちこちに庵があって、白木蓮が満開になっているのをぼーっと見て歩いた。
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この頃には、たっぷり歩いた疲れがじわじわ体を包んでいて、よく遊んだなという満足感と、
もうすぐこの旅が終わってしまうという寂しさ、というよりは駄々をこねたいような嫌気でいっぱいだった。

旅の最中って、本当に自分はここにいるんだろうか、という不思議な気分になって、
旅そのものをじっくり考えられるようになるのって大抵、家に帰ってこうして写真を見たり、ブログを書いたりしている瞬間だったりする。
友達も、「今こうして、三人でこの場所にいるの、ちょっと現実感がないんだよね」と言ってた。
明日から仕事だーと言いつつ新横浜まで帰り、職場の土産などを買い求めて、じゃあまたね、と解散。
ひとりで新幹線に乗り込んで、ぐっすり。
ふくらはぎの痛みはその後二日間に渡って私を苦しめることになるけれど、
盛りだくさんな旅だったな。
次はどこへ行こうかな。
もう少し暖かい季節に動きたい。

余談

母親が旅の写真が見たいと言うのでデータを送ったら、

「河童天使、かわいいね!」

とメールしてきた。

なんだそれ。

「え? 河童天使? そんなの映ってた?」
「映ってたよ。河童の背中に羽が生えてる人いたよ!」

まさかの人。
人間?
そんなとんちきな格好した人見かけたら覚えてるはずなんだけど。
着ぐるみ?
でもそんなの見なかったぞ。

「どれのこと? 人って、人間のこと?」

送った写真データを一枚目からざあああっと繰っていく。
そんな人いない、と思った瞬間気づいた。
もしかして。

kappatensi.jpg

この方のことだった。

「烏天狗様だよ!!!!!」

びっくりしたわ。
いや、でも。
そうか……。
顔が河童で、背中に羽があるから天使って思ったのか。
「天の使い」と考えれば、同業になるのか? 
うーんと唸りつつ眠りについて、
朝目が覚めたら、「烏天狗様ごめんなさい」って母親からメールがきてました。
うん。そうだね。一応ね。謝っておいた方がいいよね。

駄目だ。
今度から烏天狗様見る度に、河童天使だって思ってしまう。

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