バリに行ってきました!
と書くと自力で行ったみたいですが、去年と同じく親会社様に連れて行って貰いました。
(社長、本当にありがとうございます)
もう3度目なんですが、未だにこれを社員旅行と呼ぶことに慣れずに、凄いなぁとどこかおかしな気持ちになりつつ。
前日まで、本当に行くんかいなと実感わかないままに出発。
全体の感想を一言で言うなら、楽しかった! に尽きるんだけど、
リゾート地の内側とそこを出た時のギャップが異世界レベルで、夢と現実が入り乱れの場所。
明るい空に強い日差し、南国の赤や黄色、ピンクや白の花が咲き乱れ、木陰に入って風が吹けばとても心地がよくて、
甘くて良い香りが漂うデッキで海を眺めながらカクテルなんぞ片手に、まさにリゾート! これぞリゾート! を味わい、
けれどその敷地を出て少し歩けば、
土と香辛料と人の匂いが濃く、通りには車が車線なんかお構いなしで走り抜け、その合間をバイクが縫うように群れになって駆けていく。
裸足の子供たちが停車中の車に手を差出して歩き、
屋台ひしめく通りでは扇子、木彫りの人形、ガイドブック、バッグに帽子に布などなど、
両手にも頭の上にもどっさり乗せた人たちが次々に「安いよ!」と叫びながら迫ってくる。
遺跡に行った時にちょっとおかしかったのが、
ガイドブックを売りに来た人がいて、
「千円! 安いよ、千円!」
と言い、そこから100mも歩かない内に第二の物売りが現れ、彼は同じガイドブックを掲げて
「安いよ! 五百円!」
いきなり半値かよ!
いずれ百円になるんじゃないかと待ち構えていたけど、第三の物売りは現れず。
遺跡前で写真撮っていたら、にこにこ勝手に写真を撮っていったおじさんが居て、
出口の門のところで台紙に張りつけた写真を売りに来たり。
信号で車が止まると、ギターかき鳴らし、歌いながら歩いてきてはたばこや小銭を貰って歩く子供たち。
大人もいたな。
忘れられないのが、銀細工の店に居た少年。
バリからジャワ島に飛んで、ボロブドゥール遺跡に行くツアーに参加した時のこと。
お土産屋さん関連は基本カットでとお願いしていたんだけど、
銀線細工のお店にあれよあれよという間に入ってしまって、その工程を説明しますと言われた。
紫色のパリッとしたシャツを着た、恰幅の良いにこやかな店員が出てきて、
ちょっと微笑ましい片言の日本語で銀線細工について説明してくれたわけです。
その場所は日本で言うなら、土間かなあ。
隣りには立派な建物があって、その外側の地面がむき出しの場所に古びた木の机と椅子が無造作に並んでいて、
十代に見える男の子が背中を丸めて作業してた。
彼の肩を抱いて、にこやかに細工の工程を説明してくれる店員さん。
銀を細く伸ばして針金状になったものを片手に、完全に錆ついて茶色くなっているピンセットを器用に動かして、
形を作っていく少年。
自分の肩を抱き満面の笑みで話す店員(ボスなのかな)を見上げることもせず、
自分の周囲を囲み、手元を覗き込む観光客にぴくりとも反応せず、
一度なにかの音に反応して不意に前方を向いた時に、
浅黒い顔の真ん中にある白目と黒目が異様に大きく、そこになんの表情もなかったのが何故かすごく残ってしまった。
その後に、では、と案内されたお店の中にはきらきらと美しい銀線細工のアクセサリーが整然と並んでいて、
クーラーの効いた店内で我々は飲み物など頂いて買い物できるわけです。
私が初めて来たバリに抱いた印象は、ここに集約されているような気がするな。
ホテルなんかで驚いたのは、入口のゲートで爆発物の検査があることかな。
車が通るときに地面にスキャンシステムが取り付けてあったり、
金属探知機? のような器具を持ってガードマンが車一周したり、
犬がぐるりとしたこともあったな。
あれはびっくりした。
プランバナン寺院では、地震で崩れてしまった多くの寺院跡を見た。
こちらはヒンズー教の寺院で、
シヴァ神のための寺院と入口が向かい合わせになっている寺院はなんだと尋ねたら、
彼の乗り物である牛のためのものだと言われて、さすがシヴァ神!の牛! とよく分からない興奮をし、
背の高い石像の足元にそっと置かれた一輪の白い花がやけに神々しくもやさしく見えたり。
王宮は現在もインドネシアの王様ご家族がお住まいだそう。
影絵による人形劇が行われる場所には、インドネシアの伝統楽器とその奏者がずらりと座していて、
ぐるりと見て歩いている内に、幾人かの腰に短刀があることに気づく。
インドネシアのクリスという短刀だそうで、この王宮に十年以上勤めた人だけが授けられるそう。
柄の部分と刀身の部分がカーブしてるのかな。
とてもかっこよくて、ついつい、王宮の中で衛兵や職員を見かける度に短刀を確認してしまった。
王宮の衛兵等はほとんどボランティア職で、けれどこれに選ばれることは名誉なことなので、
安い給金でも王宮での職につきたいと思う人が多いらしい。
私は十年勤続の証であるあの短刀に大変心惹かれました。
かつての王様たちが女性を品定めし侍らせていた水の宮殿の、
でかいプールに裸の女性をたくさん入れておいて、二階から品定めし、
これと決めた娘を伴って、隣のこぢんまりしたプールに移動し、二人きりでお楽しみになる、という構造には笑った。
休憩室、というかベッドルームも完備されているんだけど、寝台の下に大きな穴があって、そこでお香を焚いていたそう。
一番生で見てみたかったボロブドゥール遺跡は大きかった……。
インドネシアは宗教関連施設が各種入り乱れていて、ここは大乗仏教の寺院だった。
世界最大級の大きさなのに、
今ではインドネシアの八割の人はイスラム教で、ジャワ島は九割がヒンズー教だそう。
インドネシアでは無宗教は許されないそうで、必ず自分が信仰する宗教の届けを出すらしい。
王宮や、建物、小さな寺院、様々な場所で日本で言う神棚に似た祭壇や、
出入口の足元にそっと置いてある、大きな葉で作られた椀に草花が入れてある盛り塩のようなもの。
(これは後で聞くと本当に魔除けのお供えだった)
寺院に入る際に必ず腰に巻くよう渡されていた、大きな布。
きっと探せば、至る所で宗教に関連したなにかを見つけられたんだろうな。
ホテルを散策しているときにも、一番奥に大きな木があって、その奥に祭壇があり、
綺麗なお供え物が置いてあったから、日常的に皆ここでお祈りするんだろう。
日本のホテルで、大きな仏壇が建物の奧にあって、拝みに行くとかないよなーと思ってしまった。
閑話休題。
ボロブドゥール遺跡は一番下層階が煩悩にまみれた我々の世界で、
上に上がっていく度に無我の境地に近づく構造になっているらしくて、
そのニル・ヴァーナ的な場所を三周すると夢や願いが叶うと教えられて、迷わず三周しました。
無我の境地に達せていない!
よその国の観光客の人たちと、なんか三周まわるといいらしいと言い合い、
皆でぐるぐるして写真なども撮りあったりもしたので、まあ結果オーライ。
遠い昔通っていた幼稚園が仏教系のところで、お釈迦様については一通り絵本で読み、
長じてからは聖お兄さんなんかを嗜んでいたので、
壁にぐるりと描かれたゴータマ・シッダールダ様の物語は懐かしいような気持ちで楽しんだ。
でも、
「このように、シッダールダはお母さんの右脇から生まれました」
と現地のガイドさんが解説して下さった瞬間、
「ありえない!」
と先輩が叫ぶまで、あんまり違和感を覚えていなかった自分に気づいて、笑った。
壁画にはちゃんと、お釈迦様が生まれた瞬間に七歩あるいて、その後に蓮の花が咲いているところも描かれていて、
「天上天下唯我独尊」
と告げるシッダールダ様のお姿が。
子供の頃に聞いていたから少しもおかしいと思わず、ま、お釈迦様だからそんなもんだろと思ってたけど、
先輩が突っ込んだみたいに、右脇からは生まれるのも、
生まれて直ぐ歩いて天と地を指差しそんなこと言うなんておかしいよね、ホント。
男女それぞれへの戒めの壁画もあって、
男は酒、女、博打と薬。
女は噂話、悪口。
この寺院建てられたの八世紀くらいらしいんだけど、
お釈迦様、千年以上経ってもめちゃくちゃ古びない戒めだと思います。
先輩方が、旦那に見せると男の人向けの戒め壁画をばしばし写真に撮っていた思い出。
遠くの空に、まるで浮かんでいるみたいに大きな山が見えて、
風が吹く度に気持ちが良くて、ここで日が沈む様なんか見ていたら、本当に荘厳の気持ちになるだろうなと後ろ髪引かれつつ撤収。
夜も、あのてっぺんに立って空を見上げたら星がいっぱいだろうな。
ジャワ島ツアーは日帰りだったので、
夜は大急ぎで空港に向かったわけですが、渋滞により時間が危うくなってきた。
さて、運転手さんがどうしたか。
華麗なドライビングテクニックで、バイク専用道路に突っ込む!
歩道に車体の左半分乗せて、脱輪しまくりで突っ走る!
早い! 早い早い恐い! バイクバイクバイク!!!
「ダイジョブよ! これで間に合うね。チョット急いでみた」
ははは、と白い歯を見せてにこやかに笑ってくれたけれど、めっちゃどきどきした……。
日常茶飯事なのね。
せっかくなのでと、バリで五時間くらいやるエステ行ったり、海辺をぶらぶら散歩したり、あっという間だったな。
帰宅してから風呂に入ったら、エステのせいかどうか、自分から異国の香りがして少しばかり余韻に浸りました。
台湾ともハワイとも違う気持ちになった旅だったな。
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