そういえば前々回に書いたシスター・アクトの公式HPはこちらです。
そして今回のレディ・ベスはこちら。
ネタバレ全開です。
エリザベス女王即位前の時間軸。
義姉メアリーやその側近らに存在そのものが脅威とされ、迫害されたりロンドン塔に幽閉されたりする中で、
ある日出会った吟遊詩人ロビン・ブレイクと恋を育み、
個人の愛に生きるか、自身の責務を果たし人々を幸せにするための公人として生きるかの選択をするお話でした。
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主役とヒーロー、脇の方々もWキャストで、悩んだ末に二回行きました。
ヒロインヒーローの組み合わせだけで4種もあるって、本当に困る。本当に困るんですよ懐的な意味で。
自分の頭整理のために流れを思い出してみると、
まずはベスが郊外の屋敷で家庭教師のアスカム先生とお勉強しつつ、彼女の生い立ち説明と大きな運命を背負っていることが示される。
舞台中央が円形の回り盆になっていて、結構な傾斜がついている。今回初めて知りましたが、八百屋と呼ぶらしいです。
その回り盆の中央に天球儀が置かれ、背後に星座盤が大きく映し出され、舞台は一面星をばらまいた世界。
二階から見ていたんですがこれがとっても綺麗でぼーっとなってしまった。
お父さんである偉大なるヘンリー8世が、ベスのお母さんであるアン・ブーリンと結婚したいがために、
カトリック教会から離れ、わざわざ新しい宗教(イングランド国教会)立ち上げて(分離して?かな)前妻と離婚。
そのアン・ブーリンも後に不義密通の疑いで断罪。
ベスはお父さんを尊敬し、お母さんを憎んでいて、義姉メアリー女王とは仲良くしたいと思っている模様。
メアリーは当然ながら、実母が離縁されアン・ブーリンが寵愛されていた幼少期は日陰の身として過ごし、
ベスのことはめちゃくちゃ憎んでいて容赦なく苛めている感じです。
舞台を見ていると、メアリーの地位を確固たるものにせんと暗躍するガーディナー司教はメアリーの側近、という単純な位置づけでしたが、
そもそもメアリーはカトリック教徒、ベスはプロテスタント信者で宗教的な対立が明確にあるわけで、
ガーディナー司教は調べてみると、プロテスタント教が流行りはじめて主流になった時期にカトリック教徒であり続けて投獄されてたような人だったらしくて、そりゃメアリーを旗頭にカトリック再興を掲げてベスを殺そうとするはずだよなと。
ベスが父の形見として大事に持っていたプロテスタントの聖書を取り上げたりして、なんとかベスを捕える口実を得ようと躍起になっている冒頭。
メアリーはもちろん、ベスを王女扱いしないガーディナーの態度を奨励。
ベスは淫売と呼ばれる母アン・ブーリンによって自身にもたらされる苦難の人生に苦しみながらも、
ヘンリー8世の娘としての誇りを失わぬよう生きている。
そんな最中吟遊詩人のロビンと出会い、自由に生きる男の考えや生き様に惹かれ、
市井の人々の生の姿や声を知り、人として、女性として成長していく。
人々の間では厳しい宗教弾圧を繰り返し恐怖政治を敷くメアリーを恐れ、ベスを求める声が広まりつつある。
そんな最中、メアリーは実母キャサリンの祖国であるスペイン王家と縁戚になり、後ろ盾を得ようとする。
若きスペイン王子フェリペと結婚することが決まったが、
国民はスペインに国を乗っ取られるのではとメアリーへの反発を強め、暴動が起きる。
ガーディナー司教とフェリペの側近ルナールは、メアリーとフェリペの治世の妨げとなるベスを暗殺する計画を立てる。
フェリペは年上のメアリーとの結婚にそもそも乗り気ではなく、
国のためと割り切りイギリスに入ってくるが、道中国民の噂を拾い集め、
ロンドン塔に幽閉されたベスを開放したり、暗殺されようとするベスを助けたりする。
最終的にベスは殺されぬまま、メアリーが病死し、ベスに王位を譲る日がやって来る。
ロビンとの恋を実らせていたベスは、私人としての幸せを得るか、公人としての責務を果たすべきか、
両者の間で揺れ動く。
レディ・ベスはベスの恋物語を通しての個人と公人としての成長が主軸のお話なんだろうと思うんだけど、
メアリーとの対比も結構強烈で、ついでに断罪された母親アンの影も凄まじく強烈で、
私自身が、どこを軸に見たらよかったのかまとまらない感じです。
なんの予備知識もなく行ったので、よく意味の分からないところもあったんですけど、
とりあえず衣装がめちゃ豪華だったのが印象に残りました。
見てるだけで楽しい。
ベスの義姉、メアリーが出てくる場面での貴族たちの衣装はどれもすごく好き。
中でも印象に残ったのは黒と赤と金で作られたドレスと男性の衣装。
これ、メアリーとスペイン王子フェリペとの結婚式場面なんですよ。
すごく派手で、重くて、かっこいいけど、結婚式。この歓迎されざる不吉な感じ。でもかっこいい!
その中に真っ白な婚礼衣装のメアリーと旦那になるスペイン王子フェリペがくるんだけど、
その白さが浮くよね。白が清廉潔白な白に見えない。その白すぎる白で、裏めくったら二人とも真っ黒なんだろ、という白。
悪そうなもの、不吉そうなもの、恐ろしそうなものがかっこよくて惹かれてしまうのって、
善悪吉凶すべて背中合わせって感じがしみじみするなーとふと思ったり。
悪魔と踊らないで、という楽曲の時も、メアリーの歌声とあいまってお腹にくる迫力で痺れました。
逆にベスの衣装は愛らしかったり清楚だったり華やかだったり天使系で神々しかったり、衣装替え大変だろうなと思いつつも、どれもこれも眼福で着替えが楽しみでした。
途中、ロビンにあおられて男装して街の酒場に出向く場面があるんだけど、その男装がとても似合わなくて可愛かった。
花總さんが本当に似合わない、汚い言葉使いも似あわない。無理してる感が逆に可愛いのがすごいツボ。
平野さんは少年ぽくて可愛くて、声優さんだけあって少年ぽい声音も上手でおお、本職! と。
フェリペ王子の側近ルナールのマントに狐ぶら下がってるの凄かった。
妙に存在感のある狐で、ルナールのマントさばきがいちいち決まっているせいもあって、目が離せない。
あれ、重いだろうな。
フェリペ王子は派手だったな。登場シーンでいきなり片袖脱ぎ。
お色気枠、確実にフェリペだった。というより、彼の登場場面の歌が衝撃的過ぎて、
あれ今なに見てるんだっけ、みたいな気分になりました。
メアリー女王の傍にいつも控えている道化師の格好したふたりもすごく気持ち悪くて目が離せないし、
ガーディナー司教が、裾長の司教衣装で、ベス殺ったるでー! とルナールとテンションだだ上がりでぐるんぐるん回転するところは、裾がひらっひらでなんかもうただ面白かった。
めっちゃ今楽しいんだろうな、という感じがとても出ていた。
私が今回観た組み合わせは以下の通り。
花總さん×加藤くん
内面的に、女王様としてはほぼ完成形に近かったベスが、ロビンと出会って女性としての自分に目覚めた印象。
ものすごくロビンのことが好きで、一時の情熱に身を任せはするけれど、この人は多分女王である自分を捨てられないだろうなと想像してしまう感じ。
加藤くんのロビンは、大人だったなあ。流れ者で自由人で、ベスに会って真っ直ぐ恋をして、犬的な真っ直ぐさというか。
最後にベスが女王になって戴冠する背中を見送る場面で、ベスから貰ったイモーテルの花をものすごくそっと手のひらに乗せて大事に持つんだけど、その仕草がすごくやさしくて、それまで泣かなかったのにそれで泣けた。
ロビンの包み込む愛情を感じて、ベスもそのことを知っていて受け止めて、なお背を伸ばして女王になる、という大人な二人だったな。
平野さん×山崎くん
少女の成長、ということを考えるとこれはもう断然平野さんベスだったなと思いました。
矜持は高いけれど、女王になるにも女性としても未熟だった少女ベスが、ロビンとの出会いでまず女性として成長し、
視野を広げ、女王としての自覚を持っていく感じ。
加藤ロビンが犬(大型犬)なら、山崎ロビンは猫だった。見た目の印象もあるんだろうけど。
なんか、上品だったわ。山崎くん。流れ者なんだけど、もとは貴族で家出してきました、みたいな雰囲気がある。
ベスに対しても、本当に気まぐれにちょっかい出してる内に、うっかり惚れちゃった、的な迂闊さを感じた。
ふたりがきゃんきゃん言い合いしてるのも、思春期か! て言いたくなる愛らしさ。猫二匹がじゃれあいつつ喧嘩してる。
若さ故に一気に熱が燃え上がり、ロミジュリ的な場面に、加藤ロビンと花總ベスの時はなんか安心してというか、
一夜の思い出か……みたいな切ない気持ちで観てたんだけど、
この二人に関しては、「頼むからもうちょっと考えて、考えてから行動して! えらいことになるから!」というはらはらがあった。
同じ場面なのに本当に全然印象違うな。
でも、それぞれのロビンが、本当に一生懸命ベスのこと好きなのは伝わってくるんですよ。
山崎ロビンはうっかりすると、攫いそうな危うさがあってどきどきしたけど。
最後にベスの決断を知って送り出す時も、山崎ロビンは割とぴしゃっと送り出してて、それは後でつらつら考えるに、
自分が辛いのかなと思いました。
いけよ、って顔が言ってた。たぶん、もう少しベスが迷ってたら自分が引き留めてしまいそうだったんだろうな。
戴冠式での見送りの時も、力強くイモーテルの花持ってたし。
加藤ロビンは、ベスの決断を知った時には余韻があった気がする。すごく好きで自分を選んで欲しかったけど、でも、やっぱり君は女王になるんだなって。
みたいなことを思い出していると、本当にきりがないですね。
Wキャスト、フェリペ王子もそうだったんですが、フェリペ王子は本当に彼だけ楽曲の雰囲気も違って、
やけに肌見せ場面と女たらし描写が多くて、メアリー女王への暴言がひどすぎてひきました。
いくら若くてイケメンでも、言っていいことと悪いことがある……!!
と思いつつも、まあイケメンは仕方ないですね。
絶大なインパクト残してくれる王子様なんですけど、
平方くんと古川くんでまた印象変わりますね。
はっきり書きますけど、
平方くんはね、年増のデブとかメアリーに暴言吐きながらも、夜を共にする際には、上辺だけでも一応最低限の言葉は女性にかけそうな雰囲気があったし、最初の夜だけは義務として朝まで寝所で一緒に居そうだった。
でも、古川フェリペは、メアリーに対して欠片もやさしさを見せなさそう。
なんか本当に冷たそうなんだよ。それこそ、寝所で女性のプライドずたずたにする扱いをして、直後に口直しに次の女の所に行きそう。あいつ、ひどい男だよ(想像です)。
あれって、なんなんだろうな。顔の印象なのかな。
古川くんは本当に綺麗な恐いような顔立ちの人だなーと思いました。
だから似合うんだろうね、ああいうの。
平方くんもひどいこと言って、態度にも出てるんだけど、メアリーの手を取ったときに視線を合わせるとか、そういうちょっとした仕草に最低限のやさしさが見えてしまうような空気があったな。
やっぱりWキャストは面白いなー。
ただのキャスト感想になってしまった。
お話は、先にも書いた通り、まだ自分の中で軸が定まっていないので感想もぐだぐだした感じになってしまいますが、
ベスが苦しむ度に夢に現れる母アン・ブーリンの幻影の意味をずっと考えてます。
このお母さんが、第三者としてベスを見守る者として存在している時と、
ベスの内側で苦悩の象徴として存在している時とあって、なんかしっくりこないんだよな。
最終的に、ベスはずっと憎しみ続けていた母親も自分と同じように罠に嵌められて無実の罪で断罪されたんだと気づいて、
母を許すんだけど、
つまりは、ベスの内面の成長、女性としての成長に伴って母親のことを客観的に観られるようになったということなのか。
母への憎しみという呪縛から逃れ、その潔白を信じられるようになって、初めてヘンリー8世の娘として恥ずかしくない自分を取り戻したのか。
あの人なんのために出てきてるんだろう、ということをずっと考えてます。
観た人がいらっしゃったら誰か教えて下さい。
もう何回か観たらまた色々分かってくるのかなと思いつつ。
最後の戴冠式のベスが神々しすぎて、あの光の白い輝きに鳥肌が立ったのはいい思い出です。
現在博多で公演中なのかな。
正直、
花總ベス×山崎ロビン
平野ベス×加藤ロビン
の組み合わせも観てみたい。
これまた全然違う恋模様になりそう~。
コメント
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朔さん、こんばんは!
「レディ・ベス」物語の整合性という意味では私も十分納得できていないのですが、
とにかくWキャストの醍醐味が素晴らしくて、
且つ想像というか妄想(笑)が刺激される楽しい舞台だったなあ、と思います。
ロビン二人の犬と猫、というのと、山崎ロビンは貴族出身、というのは、私も思いました。
フェリペ二人の女性の扱い方も、爆笑させていただきました。
うんうん、そういう感じ!って(笑)。
ああ、朔さんとお話したい!!
個人的には、花總ベスと加藤ロビンの組み合わせがすごい好きだったんですよねー。
そして、アン・ブーリン vs アスカム先生の熾烈さにちょっとドキドキしました(笑)。
舞台セットも衣装も豪華で綺麗でしたね。
再演もされるとは思いますが・・・9月にご一緒する翌日、一緒に名古屋に行きませんか?(え)
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恭穂さん>こんばんは!
Wキャスト、楽しかったですね。これからどんな風に変化していくのかなと想像の膨らむ舞台でもありました。
妄想は多大に刺激される感じですね(笑
フェリペはキャラが濃すぎていつまでも心に残りますね。
舞台セットや衣装を眺めにまた行きたいです。
9月、懐が厳しいので次回のお楽しみにさせてください!
一生懸命働いて舞台貯金しておきますので(笑
舞台って本当にびっくりするほど華麗にお財布が寂しくなりますね~。
しかし、素敵な舞台にまた出会えるように頑張りたいと思います。
オーシャンズ11やモーツァルト!も行きたいなとスケジュール睨めっこしつつ。
またじっくりお話しできるのを楽しみに。
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こんばんは!
久しぶりに覗いたら、新刊が…!
私としたことがチェックを怠りました!!
すぐにアマゾンでポチっとしました♪
楽しみです!
執筆、お疲れ様でした☆
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桜子さま>こんばんは! 遊びに来て下さってありがとうございます。
すぐにポチッとして下さったとのこと、嬉しいです! 楽しんで頂けますように。
お疲れ様、のお言葉に癒されました~(*´▽`*)