群ようこさんの著作に「午前零時の玄米パン」というのがあるじゃないですか。
このタイトルのインパクトに未だにやられていて、零時過ぎにものを食べると必ず脳内だったり口に出したりして呟いてしまいます。
でも「玄米パン」だからこその謎のインパクトなんだろうな。
パンも玄米だもんね。
これがイングリッシュブレッドだったりしたら、このインパクトの8割は消えると思うんですよ。
「午前零時の玄米パン」
「午前零時のイングリッシュブレッド」
イメージが全然違う。
イングリッシュブレッドとか言われたら、あーはいはいブレッドブレッド。みたいな気持ちになるんですけど、
玄米パンってそこはかとなく哀愁漂ってる感じがします。
しかも午前零時ですよ。
深夜の食卓の上に置かれてるのがイングリッシュブレッドだったら、そこの照明はきっとLEDですよ。
でも玄米パンだったら白熱灯ですよ(今久々に白熱灯という響きに触れた気がしたな)。
タイトルだけでなんらかの空気を感じさせるって凄いな、とよく思います。
やっぱり渋いわー、と、午前零時頃に唐突にお腹が減って肉じゃがもどきを温めながら思いました。
因みに「午前零時の肉じゃがもどき」は、仕事で疲れて帰宅した会社員の束の間のやすらぎと微かな寂寞、そして繰り返す日常への静かな倦怠をイメージさせますね(適当)
「トラちゃん」を読み返したくなってきた。
あ、でも午前零時のイングリッシュブレッドは、どうかするとロマンチックコメディかホームドラマが始まりそうだな。
昇進のためにダイエットしなきゃいけない男と、仕事のストレス解消のために毎日帰宅してから気が狂ったようにパンを作り続ける女。下の部屋から深夜零時頃に必ず漂ってくるパンの匂いに苛々する男が、夜中に良い匂いさせてんじゃねぇ! と怒鳴り込んでから始まるラブストーリー。女はいらっとして、毎日更に精魂込めて大量のパンを焼くようになるよ! そしたらある日相手(男)が重要な取引先に居るとかね。
もしくは思春期真っ盛りの繊細で尖った子どもと、その様子に心痛めているやさしい母親。なにがあったかよく分からないけど、最後は深夜に一緒にパン生地こねたりして、零時頃にできあがったイングリッシュブレッドをキッチンでほくほくちぎって食べたら自然と笑顔も生まれるんじゃない? 和解もしちゃうんじゃない?
つまりあれだ。パンって最高。
なんだこれ。
そんなことをつらつら考えている夜明け前。
夜明け前が一番暗い、って言うけれど、
夜明け前の思考が一番とっちらかってる、もありだと思う。
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