台湾に行った話

「河上さんパスポート持ってる？　そう、持ってるの。台湾行ったことある？　そう、ないの。分かった」

ある日社長室に呼び出され、上記会話（問われたことに答えるだけ）をしたところ、
親会社の社員旅行に唐突に連れて行ってもらえることになりました。
海外への社員旅行なんて経験のなかった私は当然呆然。
しかも親会社の大半は知らない方々。
どーなるんだと思いつつもあっという間に空の上。

海外にはほとんど行ったことがないため、今回初アジアでした。
台湾は熱帯なんだな、と感じた旅。
10月頭で日本は肌寒さを感じるようになってきていますが、台湾では日中まだ30度超えたりしてました。
暑い。と言うより、更に熱い。
あと台北の空が青い。高雄の空はなんというか、晴れているのにうっすら灰色ですっきりしない感じでした。
工業の町ということでしたが、スモッグ？
それから印象に残ったのは、あちらこちらにあるガジュマルの木。
（余談ですけど、私ずっと「ガジュマロ」だと思っていてですね、現地のガイドさんが「ガジュマル」って何度も言ってるのに、ラ行の発音が難しくて言えないんだなと勝手に思っていました。ガイドさん本当にすみません。あと本当にどうでもいいことに、じゃじゃ丸のことを思い出します。音的に。海の男ポロリが好きだった幼少期）
あの枝から地面に向かい垂れ下がる根を見て、おおおこれが締め殺しの…、とひとりでぞくぞくしていました。
隣りの木に絡まり完全に乗っ取っている姿などを見ると、暑いのにざわりとなりますね。
でも、確かにあの下に立つと涼しかったです。
バスの中から見る町かどの木や花の色が鮮やかだったり、蔦やひげみたいなものがわさわさ垂れ下がっていたり椰子だったりして（←私に分かりやすい熱帯の木）、おおお日本と植物の雰囲気が違う…と妙に感動しました。

旅程は台北から新幹線で高雄観光→翌日台北へ。観光に次ぐ観光→帰国という具合。
新幹線、のぞみでした。そのせいか、海外に行ったという気になかなかならない。
カラーリングが違うのと、座席の前列との幅が広くてゆったり快適。
あとどこでも日本語が通じました。ファミリーマートとセブンイレブン無双。
コンビニの女の子がはにかみながら「ありがとうございます」と言ってくれて、
こちらもへらへらしながら「謝謝」と言ってみる。照れる。
衝撃だったのが、世界に誇る日本のダイキンの巨大看板が和服姿の男性女性でした。
その人達の姿だけ。エアコンがどこにも載っていない。
日本の企業だというアピールなのかな。
日本だと、エアコンから飛び出したぴちょん君がロボぴちょん君に乗って部屋のダストを強力パンチしたりしているイメージなので(かなり限定されたイメージ)、国が変わると看板の雰囲気も随分変わるものだと思いました。

閑話休題。
現地ガイドさんつきのバスツアーで、ひたすら観光地、景勝地、名所巡り。
そして一日一度は必ず免税店、土産物屋に入店。
あまりに一気に巡りすぎて、正直、寺院や廟なんかは、建物と庭が頭の中でミックスされている現在です。
一日に詰め込み過ぎだよ！　でもすごく社員旅行ぽいと思いました。
今回、土産物店の迫りくる威力を思い知りました。
バスで乗り付けて店内に入るなり、店員さん達がひとりにつきひとりの勢いでついて来る。
なんとかその包囲網を脱出し、「ワタシナニモカイマセン」という顔で
ひとり店内をふらりとし、かわいらしい栞があったので立ち止まって見ていました。
ふんふんと眺めていると、不意に

「シオリです」

背後から、そっと話しかけられた。
びっくりした！　むっちゃびっくりした。自己紹介みたいだった。慌て過ぎて変な受け答え。
「そ、そうですね」
「かわいいよ！」
「そうですね！」
でも買わないんだ。
迎えのバスが来るまで店内にいろということだったのですが、早々に退散。
店を出た瞬間、
「マンゴージュース！！」
高らかにマンゴーを見せつけてきた屋台のおばちゃんと目が合った。
「……いただきます」
なんか負けた。美味しかったよ、マンゴージュース。

蓮池潭、龍虎塔、孔子廟、六合夜市。
龍虎塔では龍の口から入り、虎の口から出て災厄をはらったり、
六合夜市では有名な臭豆腐の洗礼を受けたり（聞いてはいたけれど、やはりにおいで敗退。チャレンジできませんでした）無造作に台の上に乗っている魚介類に慄いたりしました。
そしてこれだけはと、リンパマッサージ受けました。
安いな……！
結構ごりごり痛かったりしたはずなのに、気づけば気持ち良く爆睡していました。
あああ月に一回くらい受けたい。
寺院の庭にリスがうろちょろしているのに何度か会いました。
すごく和んだ。人によく慣れてました。

南の料理は、ニンニクたっぷりのイメージです。
どれもこれも美味しかったので、本当に味付けが北と南で違うんだなという程度の感想。
香辛料もたっぷり。量も半端ない。
でも多分、そこまで慣れていないと感じる味はなかったような気がします。
夜は四川料理だったので、中華でした（笑

寺院はどこもカラフルで、目に鮮やかな装飾ばかり。
シーサーやしゃちほこみたいな、屋根の瓦に使われる装飾に、鳥に乗ったおじさんがちょいちょい居るんですよ。
どうやら孔子さんらしく、あの鳥はなに？　後ろからついてきてる動物は？　とガイドさんに聞いたら、
「空想の動物！　だから答えられない！」
ど、どんな動物か教えて欲しかった……。
検索の仕方が悪いみたいで、鳥に乗ったおじさんを見つけられない。
寺院の屋根は、よくよく見ると神話が描かれているっぽい彫刻がたくさん並んでいました。
彩色がどこも鮮やかだったな。

故宮博物院では有名な白菜と、豚の角煮、オリーブの実に施された繊細な彫刻を見ましたが、
なんとここの滞在時間が二時間もなかったorz
ガイドさんがぱぱぱっと説明しながら歩いて行くのについていき、有名どころをとりあえず押さえるといった感じで、後ろ髪引かれまくり。しかし、朝一番から黒だかりの人の列。それにも圧倒されました。さすが。
そうそう。もうひとつ展示で心に残ったのが、親子三代、何十年にも渡る象牙への彫刻。
親子三代て、彫り始めた人も、その子どもさんも大変だっただろうけど、いよいよ自分の番で完成しそうだと分かる三代目の人のプレッシャー半端なかっただろうなと考えてしまった。三代目よくやったよ、と心の中で勝手に三代目への拍手を贈る。いつも余計なことばかり考えています。
それまでの土産物屋でろくに買い物ができていない私は、ここでネタ土産をたんと仕入れました。
白菜グッズありがとう！
ちゃんとウケた。

忠烈祠の衛兵交代式、中正記念堂、九份。
九份は「千と千博の神隠し」のモデルとなった場所ということで楽しみにしていましたが、
あの独特のがちゃがちゃした感じは、夜市とはまた違って面白かったな。
細長い屋台が連なる道筋で、色んな食べ物の試食させてもらいましたが、
芋の団子が入ったぜんざいのようなものが美味しかった。
あと、お茶。
お茶は友人に頼まれていたので色々飲んでみましたが、段々私の舌が馬鹿になってよく分からなくなる。
たぶんどれも美味しかった。
湯婆婆の屋敷のモデルと言われるお茶屋さんの看板には、ずばり「湯婆婆」と書かれていてぎゃあとなりました。
お昼ご飯をここで頂きましたが、この旅の中で一番味付けがあっさりとしていて、
台湾に何度も来ている社長によると、ここの食事が一番台湾料理っぽい、ということでした。

そうだ。台湾のお墓を見たんですが、小人の家みたいだった。
カラフルで、山にたくさんお墓が建てられているのに、小さな家のように可愛いから、少しもおどろおどろしいイメージがなくてびっくり。
ガイドさんは、昔宿がないときにはお墓で寝ていたとあっけらかんとして言っていました。
うーん、確かにあそこならちっとも怖くない。
お墓の形ひとつとっても、異文化を感じる瞬間。

旅の間、わずかに自由時間ができて、展望台で有名な101と地元の方達が行くスーパーにも行きました。
101は上るのに1時間待ちとのことで諦めましたが、スーパーは楽しかった！
日本のものがずらりと並んでいるので、やはり親近感がわきましたが、
棚一面に並ぶラーメンには圧倒された。
種類も豊富。なににしようかなと悩んでいたら、品だしをしていたおばちゃんが、片言の日本語で話しかけてくれて、お勧めラーメンを教えてくれました。
5袋入って200円くらいのラーメンがほとんどで、安くてびっくりする。
これが、美味しかったんですよ。家に帰ってちょっとずつ食べているんですけどね。
牛肉入りラーメン。
ドライマンゴーも、スーパーで買ってみたやつも美味しかった。
先輩が買われていた超高級ドライマンゴーは香りからして違っていたので、やはり値段に比して味は格段に変わる模様。

正直、食べて食べて食べての旅でもあったので、たった数日で実質2キロも増えた日にはよろりとしました。
食べることで物理的に増えるのって本当に体が重い。

そんなこんなで、あっという間の盛り沢山台湾旅行でした。
まだ帰ってきて十日ほどなんですが、もう随分昔のことのように思えます。恐ろしい。
フランスの旅も美味しかったですが、台湾の旅も非常に美味でありました。
ご飯が美味しいと旅は幸せになりますね。