夜の写本師

夜の写本師 夜の写本師
(2011/04/28)
乾石 智子

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「人を孤独にするのは自分自身だというわ」

全編を覆う闇の色にいっそ鮮やかさを感じてしまう。
昨日、七色の闇という表現で撃ち抜かれましたと一言書いてしまったのですが、
世界の持つ原始の闇と人の持つ闇の色、
その畏ろしさや、
言葉にはとてもできないただ肌の粟立つ感じ、惹かれてしまう感じ、
自分の内にも確かに蠢いているもの、禍々しいもの、
醜く、空恐ろしく、残忍なもの、それなのに美しく見えるもの。
そういうものが七色の闇という言葉から発されいるように感じて、肌がざわざわしました。

主人公のカリュドウは、書物を写本し作成する写本師であり、
また、魔術を文字に織り込み操る「夜の写本師」なのですが、
前後の文章その連なりの中で表される言葉、文字、一文に震える瞬間は、
まさしく言葉そのものにそこに至るまでのあらゆるものが作用して
なんらかの力が宿っているような気持ちになります。

1000年に渡る甦りと復讐の物語は、多くの人々の死と闇と孤独の物語であり、
そしてなによりも、生と愛情の物語でした。
最後に溢れ出る光の美しく鮮やかなこと。

この4月に魔道師の月が出ている! キアルス……!!

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