町田樹さんのこと

全日本選手権のSP後の涙や笑顔と、FP終わった後にふっと笑って頷いた表情に、
この人はもしかしたらという気持ちが過ったんですが、信じたくない気持ちの方が強かったんですよね。
一ファンとして、彼の望む場所へ行ってほしいし、その後の人生を応援したい気持ちははっきりとあるんだけど、
まだ、もう少しの間はスケートリンクで彼の世界を見せてくれるんだと勝手に思っていたから、
心の準備がちっともできてなかった。

でも、あんな笑顔で、誇らかに引退できますと言う彼を見たら、
そうかー、と。
すごくさみしいけど、こっちも誇らかな気持ちになった。
でも定期的に泣ける。
だってやっぱりさみしいんですよ。ものすごく。
まだ見ていたい気持ちが強くて、でも彼がすっきりとして前を向いて、もう振り返らないんだろうなと分かるから、
そのことをさすが! と誇らしく思う一方ですごくさみしい。

私はもともとライトなフィギュアファンで、オリンピックくらいしかまともに見ずに、
たまにテレビで競技会の放送があるときに時間が合えば見る、
アイスショーも二回行ったくらいの距離感だったので、
テレビにばんばん出る選手やアイスショーで直に見た選手は知っているけど、
町田君のことをはっきりと認識したのは去年の全日本選手権からでした。

すごく強気な発言と、語録と呼ばれた独特の感情表現だったり、世界観の説明だったりで、
なんだこの子面白いな、と思ってじわじわして、
ソチの逆バレンタインのあたりではもう完全にどはまりしていたような気がします。
たった十か月。

どんな経歴の人なんだろうとか、
どんな演技をしてきたんだろうとか、
メディアの前に立つ度に、なにを言うのかなとワクワクしたりはらはらしたり。

ソチで最高に盛り上がった直後の世界選手権で、
羽生君とのギリギリの戦いでフィギュアスケートの競技としての面白さにドキドキして、
あの忘れられない「エデンの東」で、舞台を見ているような感動を与えてくれた。
彼が口に出して言い続けてきた、「自分の運命は自分で切り開く」をこれ以上ない形で見せつけられて
もう、なんつー凄い子や、と圧倒されたのを覚えています。
ソチ五輪の浅田真央さんのFPの時に、ただ言葉もなく、美しいものを見ているんだと思ったのと同じような気持ち。
これはスポーツで、競技なんだけど、
あの「エデンの東」みたいに綺麗で、感情が動かされて、幸せな気持ちになるものに会える瞬間がある。

人が自信を持ち、顔つきが変わり、光を抱いて行く様に、勝手にこっちが力を貰っていたんだなあ。
続きの待ち遠しい物語を読んでいるような一年でした。
この先になにが待っているんだろう、一体どんな物語を見せてくれるんだろう、どんな言葉が紡がれるんだろう。
彼が自分のために書き続けたフィギュアスケートの章が本当に鮮やかで、
わずかな時間ではあったけれど、その物語に触れることができて幸せでした。
今年は辛いことがあると、世界選手権のエデンに何度も救われました。
きっとこれからもお世話になるだろうな。

まだまだ、第九の冒頭が流れると泣けるんですが、
本当に楽しい一年をありがとう。
今後の人生も幸多いものでありますように。

ありがとうございました。
これからも大好きだ!

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