Don’t touch the MONEY.

自由より価値のあるものなんてないよ。
金に手を触れたらおしまいだ。
分かるだろう?
自由でいたいんだ。

「ビル・カニンガム・ニューヨーク」観てきました。
以下ネタバレ感想というよりはただただ叫び。



このドキュメンタリーのことを知るまで、まったく知らない方でした。
ビル・カニンガム。
NYのストリートで何十年もスナップ写真を撮り続け、NYタイムスに現在もコラムを書き続けている方だそうです。

雨の日も風の日も雪の日も、一日も欠かさずストリートに立ち、清掃員の着る青いシャツが安くていいと愛用し、フード付きの雨合羽をテープで修理して着続ける。
「どうせ破れるんだから安物でいいんだよ。買い換えても破れるから、テープで直すんだ」
映画の中での年齢は79~80歳。
カーネギーホールの一室に住まい、そこから愛用の自転車でどこへでも走っていく。
と言うより、カーネギーホールって人が住んでたんだ!? カーネギーホールってあのカーネギーホールだよね? と動揺しましたが、間違いなかったみたいです。なんともはや。
すべてのネガを納めるキャビネットでいっぱいの部屋に埋もれるようにベッドが置いてあって、棚の上に積み上げられた雑誌の山を更に高くしながら、潰れるならファッション誌の下敷きだね、と目尻に皺を寄せて、そりゃあ楽しそうに笑う。
あの笑顔。
「僕は仕事はしていない。好きなことをしているだけ」
そう言い切って笑ってしまえる人が一体どのくらいいるんだろうな。
有名人もセレブも一般人も、彼にとって重要なのはスタイリッシュかどうか、それだけで。
「誰かを傷つけるための写真は撮れないよ」
彼の撮る写真は、その人々への賞賛と敬意と愛情に溢れていることが二重の画面越しに伝わってくるようで、
彼に写真を撮られた人たちがそれを誇りに思う気持ちがおぼろげに想像できるような気がした。
いや、本当に彼に撮られること、それが新聞に掲載されること、がある人々にとっては至上の喜びに直結するような人なんだなとしみじみ感じてしまったというか。
服に対する愛情はもちろんなんだけど、同時に、この人が人への深い親しみと愛情を抱いていることがひしひしと伝わってきて、そういう気持ちは勝手に周りを癒す気がする。
「服は鎧だよ。その日を生き抜くための鎧なんだ」
「誰にだってセンスはあるんだ。ただ、勇気がないだけ」
お洒落には疎い私ですら、なにかこう、はっとさせられる言葉でありました。
彼を取り巻く人々の言葉や態度、ファッションにも度々惹きつけられました。
自分の道を貫いてきた人たちの、内面から滲み出る誇りと美しさというものが惜しみなく並べられて、
その人たちがビル・カニンガムという人について語るんですよ。
もうなんだか、胸がいっぱいになってくる。
彼自身もドキュメンタリーの中で言っているんですが、
この人の生き方は驚くほどにシンプルで飾り気がなく純粋で、それなのに、この人が写し出すものは怖ろしいまでにゴージャスなんだな。
その矛盾の面白さ。
彼がとある勲章を授与されたときのスピーチで締めを。

「美を探求するものは、いつか必ず美を見つける」

観ている内に、この人自身の綺麗ななにかに触れてなんでもない言葉や笑顔なんかにふっと泣きそうになりました。
「美」がファッションでなくとも、なにかを見つけたいものだなと思いました。

この映画はしかし、美容にはいい。
見終わった後の肌つやが異様に良かったです。
今もまだ興奮状態にあるせいか、つやつやしています(笑)
ありがとうビル!

追記:セリフは私の記憶に頼って書いているので、自己解釈や間違いがあるかもしれません。ご容赦下さい。

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